「時を経ても色褪せない名曲」 No.3    

「時を経ても色褪せない名曲」 No.3    
    
忘れはしないよ 時が流れても    
いたずらなやりとりや    
心のトゲさえも 君が笑えばもう    
小さく丸くなっていたこと    
    
かわるがわるのぞいた穴から    
何を見てたかなぁ?    
一人きりじゃ叶えられない    
夢もあったけれど    
    
さよなら 君の声を 抱いて歩いていく    
ああ 僕のままで どこまで届くだろう    


    
探していたのさ 君と会う日まで    
今じゃ懐かしい言葉    
ガラスの向こうには 水玉の雲が    
散らかっていた あの日まで    
    
風が吹いて飛ばされそうな    
軽いタマシイで    
他人と同じような幸せを    
信じていたのに    
    
これから 傷ついたり 誰か 傷つけても    
ああ 僕のままで どこまで届くだろう    


    
瞬きするほど長い季節が来て    
呼び合う名前がこだまし始める    
聴こえる?    
    


さよなら 君の声を 抱いて歩いていく    
ああ 僕のままで どこまで届くだろう    
    
ああ 君の声を 抱いて歩いていく    
ああ 僕のままで どこまで届くだろう    
    
ああ 君の声を・・・    


    
                 スピッツ「楓」
    

スピッツの通算19作目のシングルで、両A面シングル。1998年発売。    
8thアルバム『フェイクファー』収録曲「楓」と、同アルバムのセッションで    録音され未収録となった「スピカ」の2曲を両A面で収録。  

 
裏表紙(「スピカ」と表記)も表表紙(「楓」と表記)のようなデザインに     なっている。表と裏が逆になっているバージョンもあり、事実上ジャケットが     2種類ある。    
ファンの間では「楓派」、「スピカ派」という言葉が生まれるほど両曲ともに    人気である。    
    又、数々のテレビ番組の主題歌、挿入歌にも使用され    
2010年10月にYouTubeで配信された公式PVは2024年1月現在7459万再生を超えている。    
「楓」は、秋を代表する楽曲として、松任谷由実さんなど、多くのアーティストから カバーされています。    
2017年には「午後の紅茶」のCMで上白石萌歌さんがカバーしたことで       約20年ぶりにチャートに再浮上しました。    
作詞・作曲を草野正宗が担当されています。

   
   心を動かされる「楓」はボーカルである草野正宗さんの声質やメロディーも     さることながら和音進行にも作曲技術の要素がたくさん詰まっています。    
原曲はA♭ですので、解説用にわかりやすくCに変更しています。    


    
Aメロに関して    
C → Em→ A m→ D7 → F  → G    
    
Aメロの4小節目がD7になっています。    
トニック Cに対してサブドミナントⅡmであるDmとする所を                    D7(ダブルドミナント)を 採用されています。    
この曲のAメロの前半では6小節あり、普段よく耳にしている                  4小節刻みとは異なるため違和感を感じます。    
4小節のサブドミナントを暗いイメージのマイナー調の(Dm)より                    明るいイメージのメジャー調にすることで    
5小節目へ違和感なく自然と聴かせてくれています。    
    


Bメロに関して    
F G → C Am → F G → C C/E     
F G → C Am → Dm → E7    
サビ    
Am → F → G → C    
    
Bメロの4小節目後半がC/Eになっています。    
トニック Cに対して、C/Eの分数コードが採用されています。    
トニック Cに対して、最低音をEを採用し、ベースをクリシェさせることで    
Bメロ後半の5小節目のFへ気持ちよく入ることができます。    
次に8小節目のE7です。    
トニック Cに対してトニックⅡmであるEmとする所を                           E7(セカンダリドミナント)を採用されています。    
サビの1小節目 Amへ1番向かおうと感じるE7というノンダイアトニックコードを      使ってサビを存分に聴かせてくれる構成になっています。    
    

最後に
コードの名前や単体の響きではなく、繋がり方に意味を持たせている。    
スピッツの音楽は一言で言わせていただくと「わかりやすい」。    
その分、日本語を大切に歌詞やメロディーが聴こえてきたり               他の部分が際立って見えます。    


中々できないんですよね(笑)    
僕の中でこの曲は    
時を経ても色褪せない名曲です。 
    

 

「時を経ても色褪せない名曲」 No.2

どんなたいへんなことがおきたって

きみのあしのそのしたには

とてもとてもじょうぶな「ばね」がついているんだぜ

(しってた?)

 

おしつぶされそうな そんなときだって

ぐっとひざっこぞうにゆうきをため

「いまだ!スタンバイ!オーケー!」

そのときをまつのさ

 

ぴゅ~ら~り~ら~

かぜがきみをよんでいるよ

ぴゅ~ら~り~ら~ら~

いまこそ!

 

ぼよよよ~んとそらへ とびあがってみよう

ほらあのくもまで てがとどきそう

ぼよよよ~んとたかく とびこえてゆこう

にじのふもとで えがおでまってるきみがいる

 

あるけ あるけ あるけ

すすめ すすめ すすめ

あるけ あるけ あるけ

すすめ すすめ すすめ

 

あるけ あるけ あるけ

すすめ すすめ すすめ

あるけ あるけ あるけ

すすめ すすめ すすめ

 

なんでそんなふうにうつむいているの

おもいだして あしのした

とてもとてもだいじな いまをいきてるんだぜ

(そうでしょ?)

 

きみがほんとうに たかくとびたいなら

やっぱひざっこぞうにゆめのせて

「いちどしゃがんでジャンプ!」

きぶんはどうだい?

 

ぴゅ~ら~り~ら~

かぜもきみをおいかけるよ

ぴゅ~ら~り~ら~ら~

それゆけ!

 

ぼよよよ~んとそらへ とびあがってみよう

ほらあのほしさえ てがとどきそう

ぼよよよ~んとたかく とびこえてゆこう

ほしのしずくは はじめてのあしたへとつづく

 

ぼよよよ~ん yeah yeah yeah

ぼよよよ~ん yeah yeah yeah

ぼよよよ~ん yeah yeah yeah

 

ぼよよよ~ん

         中西圭三「ぼよよん行進曲」

 

 

2006年10月18日発売の本楽曲をタイトルチューンとしたアルバム

NHKおかあさんといっしょ 最新ベスト ぼよよん行進曲』に収録された。

発表当初は1番の歌詞のみだったが、2番の歌詞も製作されており

2011年に両A面シングル「ぼよよん行進曲/風雅」としてセルフカバー版が発売された後

同年3月11日に発生した東日本大震災の被災地の子供たちに歌われる場面もあった。

 

「子どもたちを取り巻くさまざまな社会問題がある中、いつか困難が立ちはだかっても

足の下のばねで飛び越えてほしいと考えました。」と語る中西圭三さん。

いつの時代でも、年齢性別関係なく愛される曲

笑顔で「ぼよよよ~ん」と明日に向かって飛んでいけそうですね。

 

又、心を動かされる「ぼよよよ~ん行進曲」は

メロディーもさることながら和音進行にも作曲技術の要素がたくさん詰まっています。

原曲はB♭ですので、解説用にわかりやすくCに変更しています。

 

その心動かされる要素満点な所で、今回はこの楽曲のサビの部分を中心に綴ります。

C → F→ Dm → E7 → Am → F#m(♭5) → Dm → G7

Am → F→ Dm → E7 → Am → F#m(♭5) → Dm C/E → F G→ C

 

一般的な和音進行である

トニック C(主役、安定感がある) →

サブドミナント F(脇役、バリエーションを豊かにする)

ドミナント G(トニックⅠへ向かおうとする) →

トニック C(主役)

以上の4つ和音をだけで、一曲終わった感じがします。

という動きを繰り返すのが基本です。

 

その基本通り

1小節目はC(トニック)→2小節目はF(サブドミナント)となります。

そして4小節目のコードはE7になっています。

ここで一番基本のC(トニック)に帰らずに

少し離れた本来ⅢmであるところをⅢメジャー7に変更し

E7を入れることで調性を不安定にしています。

 

これによって

本来C(トニック)に帰って落ち着くところが

不安定な響きによって落ち着かなくなっているので

心を動かすわけです。

 

さらにもう一ヶ所

9小節目にあたる2回目の「ぼよよんと空へ」の部分にも工夫があります。

 

1小節目がトニックⅠにあたるCだったのに対し

9小節目では同じトニックのコードでもⅥmにあたる

Amになっています。

 

Amはマイナーコードなので、暗い響きをしています。

弱気の「ぼよよ」の部分で、もう一度同じようにC(トニック)が来ると見せかけて

暗い響きであるAmを採用されています。

 

こちらも、予想通りに来ると思ったコードが来ない上に

暗い響きのマイナーをあてることで、和音進行が少し不安定になるので

心を動かすわけです。

 

もともと心に響く素敵な歌詞が、心を動かす和音進行に乗っているので

より心に響くということなんですね。

 

17年以上経った今でも

こんなに愛され続けるぼよよん行進曲

 

時を経ても色褪せない名曲です。

「時を経ても色褪せない名曲」No.1

小さい頃は神様がいて 不思議に夢をかなえてくれた

優しい気持ちで目覚めた朝は 大人になっても 奇跡は起こるよ

 

カーテンを開いて 静かな木漏れ日の

 

やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ

 

 

小さい頃は神様がいて 毎日愛を届けてくれた

心の奥にしまい忘れた 大切な箱 開くときは今

 

雨上がりの庭で くちなしの香りの

 

やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ

 

 

カーテンを開いて 静かな木漏れ日の

 

やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ

 

                      荒井由実やさしさに包まれたなら」                                                                                             

 

やさしさに包まれたなら」は、1974年4月にリリースされた荒井由実松任谷由実)のシングル。不二家ソフトエクレアのCM曲として作られました。

1989年公開されたスタジオジブリの映画「魔女の宅急便」エンディング曲として有名で 
スタジオジブリ関係者が松任谷由実のコンサートに触発を受け、当初は書き下ろし曲を希望していたが松任谷夫婦の快諾を得られず荒井由実時代の既存楽曲が用いられた(主題歌『ルージュの伝言』も同様)。
ちなみに、シングルとアルバムで編曲が異なり、映画ではカントリーテイストのアルバム・バージョンが用いられています。

小さい頃から聞き馴染みのある方も多いかもしれませんが、大人になってから改めて歌詞を見ると      より心に響くものがあるのではないでしょうか。忘れていた大事なことに気づかせてくれるようなこの曲は

何年経っても愛され続けていくのですね。

 

楽曲の解説

コード進行について原曲はF#ですので、解説用にわかりやすくCに変更しています。

最初の一節「小さい頃は神さまがいて」

| C | D | Bm7 Em7 | Am7 | ( | ド ミ ソ | レ ファ# ラ | シ レ ファ# ラ ミ ソ シ レ | ラ ド ミ ソ | )

 

この4小節に対して、普段よく聴くコード進行をつけると以下のようになります。

| C | Dm7 | G | Am7 | ( | ド ミ ソ | レ ファ ラ ド | ソ シ レ | ラ ド ミ ソ | )

 

2小節目のD(レファ#ラ)と、それに続くBm7(シレファ#ラ)です。

2小節目のD(「小さいころは」の「ろは」)でフワッと伸びやかに歌が舞い上がる感覚になります。

3小節目のBm7(「神さまが」の「神」)で、コードだけで考えると

キーであるCの中では本来ものすごく違和感が出るはずなのですが、とても自然に聞こえます。

 

理由として

前のコードのDの和音構成をほとんど変えずに、ベースだけB(シ)に移っているからです。

この3小節目のBm7は、前のコードDでCに対して全音上げて一気に展開を動かし

それに続く和音として今度はベースだけ動かすことに意味があります。

 

よく聴くコード進行のように

Cにとって5度の関係にある安定的なG(ソシレ)にいくこともできますが

| C | D | G |というメジャーコードが3小節連続になり、不自然に明るくなってしまいます。

Bm7はマイナーコードになるので、切なさや湿り気を与えています。

 

又、「Aメロ」では、ピアノのアルペジオ(単音を順番に弾く奏法)とベースで和音進行を担っています。

この2つの楽器が一定のリズムで淡々と繰り返していることで、和音の繊細な響きの変化を美しく表現しています。

 

「サビ」に関して「カーテンを開いて」から始まるセクションは

前のメロディからの転換という意味でのいわゆる「Bメロ」と盛り上がるという意味での

いわゆる「サビ」が連続するような形です。

マイナーコードから始まり2コードを繰り返す抑制的な前半部分から

「やさしさに」で一気に視界が開け、開放感に満ちた解決に至ります。

 

最後に

曲名も感情を聴き手に与え、強い情緒に訴えることなく

しかし広がりのあるドラマチックな展開を持つこの曲は

時を経ても色褪せない名曲です。