「時を経ても色褪せない名曲」No.1
小さい頃は神様がいて 不思議に夢をかなえてくれた
優しい気持ちで目覚めた朝は 大人になっても 奇跡は起こるよ
カーテンを開いて 静かな木漏れ日の
やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ
小さい頃は神様がいて 毎日愛を届けてくれた
心の奥にしまい忘れた 大切な箱 開くときは今
雨上がりの庭で くちなしの香りの
やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ
カーテンを開いて 静かな木漏れ日の
やさしさに包まれたなら きっと 目に映る全てのことは メッセージ
「やさしさに包まれたなら」は、1974年4月にリリースされた荒井由実(松任谷由実)のシングル。不二家ソフトエクレアのCM曲として作られました。
1989年公開されたスタジオジブリの映画「魔女の宅急便」エンディング曲として有名で
スタジオジブリ関係者が松任谷由実のコンサートに触発を受け、当初は書き下ろし曲を希望していたが松任谷夫婦の快諾を得られず荒井由実時代の既存楽曲が用いられた(主題歌『ルージュの伝言』も同様)。
ちなみに、シングルとアルバムで編曲が異なり、映画ではカントリーテイストのアルバム・バージョンが用いられています。
小さい頃から聞き馴染みのある方も多いかもしれませんが、大人になってから改めて歌詞を見ると より心に響くものがあるのではないでしょうか。忘れていた大事なことに気づかせてくれるようなこの曲は
何年経っても愛され続けていくのですね。
楽曲の解説
コード進行について原曲はF#ですので、解説用にわかりやすくCに変更しています。
最初の一節「小さい頃は神さまがいて」
| C | D | Bm7 Em7 | Am7 | ( | ド ミ ソ | レ ファ# ラ | シ レ ファ# ラ ミ ソ シ レ | ラ ド ミ ソ | )
この4小節に対して、普段よく聴くコード進行をつけると以下のようになります。
| C | Dm7 | G | Am7 | ( | ド ミ ソ | レ ファ ラ ド | ソ シ レ | ラ ド ミ ソ | )
2小節目のD(レファ#ラ)と、それに続くBm7(シレファ#ラ)です。
2小節目のD(「小さいころは」の「ろは」)でフワッと伸びやかに歌が舞い上がる感覚になります。
3小節目のBm7(「神さまが」の「神」)で、コードだけで考えると
キーであるCの中では本来ものすごく違和感が出るはずなのですが、とても自然に聞こえます。
理由として
前のコードのDの和音構成をほとんど変えずに、ベースだけB(シ)に移っているからです。
この3小節目のBm7は、前のコードDでCに対して全音上げて一気に展開を動かし
それに続く和音として今度はベースだけ動かすことに意味があります。
よく聴くコード進行のように
Cにとって5度の関係にある安定的なG(ソシレ)にいくこともできますが
| C | D | G |というメジャーコードが3小節連続になり、不自然に明るくなってしまいます。
Bm7はマイナーコードになるので、切なさや湿り気を与えています。
又、「Aメロ」では、ピアノのアルペジオ(単音を順番に弾く奏法)とベースで和音進行を担っています。
この2つの楽器が一定のリズムで淡々と繰り返していることで、和音の繊細な響きの変化を美しく表現しています。
「サビ」に関して「カーテンを開いて」から始まるセクションは
前のメロディからの転換という意味でのいわゆる「Bメロ」と盛り上がるという意味での
いわゆる「サビ」が連続するような形です。
マイナーコードから始まり2コードを繰り返す抑制的な前半部分から
「やさしさに」で一気に視界が開け、開放感に満ちた解決に至ります。
最後に
曲名も感情を聴き手に与え、強い情緒に訴えることなく
しかし広がりのあるドラマチックな展開を持つこの曲は
時を経ても色褪せない名曲です。